Strava Japan Club では、#ソロって団結 チャレンジの応援コンテンツとして、こういう時だからこそ参考にしたい運動の専門家のアドバイスを、複数回に渡ってお届けします。
第4弾では、サイクリングやランニングといった、エンデュランススポーツにおける筋トレの有効性をテーマにしています。Stravaコミュニティ内でもクロストレーニングをするアスリートが増えている一方で、どうしてもその内容が有酸素系の運動に偏りがちな人は多いのではないでしょうか。
この機会に筋トレで「ステイホーム」してみませんか?今回は、ウエイトリフティングの全国大会で入賞者ゼロだった高校をインターハイ団体優勝に導き、現在はクロスフィットコーチとして活躍している河原祐輔さんにお話を聞いてみました。
前回の記事を読む:「ステイホーム」中のトレーニング 〜メンタル編〜
#ソロって団結
「ステイホーム」中の
トレーニング
〜筋トレ編〜
ウエイトトレーニングは
人間の基礎的な運動能力を鍛える
「競技としてのウエイトリフティングは、持ち上げる重量を増やしていくことに特化しているのですが、その負荷や継続時間を変えることで、他のスポーツでもトレーニングとして取り入れることができます。例えばエンデュランススポーツの場合は、より低負荷の動きをより長くすることで、競技特性に合った筋出力を維持しながら、基礎的な運動能力を高められます。特に、早く走る、遠く飛ぶ、高く飛ぶという、普段の運動では改善しづらい運動能力を向上できる、数少ないトレーニングです」
運動能力を高める鍵は
股関節の動き
「ウエイトリフティングによる運動能力の向上には、股関節の屈曲・伸展運動が影響しています。ウエイトリフティングでは重い負荷をかけてでもその動作を行うので、走る・飛ぶなどの動きが自然と強化されていきます。サイクリストがトレーニングでよく行うマウンテンクライマーの動きも、股関節の屈曲・伸展運動、そしてコアの働きが重要です。また、股関節をうまく使えるか使えないかで、最大筋力やケガのリスクは大きく違います」
実は良いことがたくさん!
自重トレーニング
「今のような限られた環境では、バンドやチューブが一本あればトレーニングの幅は一気に広がりとても有効ですが、なければタオルや砂を詰めたペットボトルなどで工夫することもできます。また、実際のウエイトを使ったトレーニングは強度が高くて、自重トレーニングは低いというイメージがあると思いますが、これは違うと思っています。例えば、腕立て伏せが1回もできない人でも、10kgのベンチプレスはできるんです。レベルとしては、まずウエイトトレーニングが一番低くて、その次に自重トレーニング、そしてまたウエイトトレーニングという段階で、強度は上がっていきます」
「自分の体の重さをいかに上手に使ってトレーニングしていくかということを見つめ直せば、良いことがたくさんあります。筋肥大もすれば、筋力を極力低下させないことにも繋がりますし、また一番の恩恵としては、自分の体重に対する筋量の割合が高くなります。だから、今の状況をあまり悲観することはありません」
「ステイホーム」で試してみよう!
- 腕立て伏せ x10
- 腹筋 x15
- スクワット x20
この動きを1セットとして、以下①と②のように運動量重視と時間重視で比べると、運動の感じ方は違うはずです。
① 運動量重視:10分間、休みなく動き続けられるペースで完了できたセット数
② ①でできたセット数をできるだけ早く完了するのにかかった時間
次の「実践編」で、河原さんがクロスフィットのトレーニングメソッドを通して、その理由を説明します。
「ステイホーム」中のトレーニング 〜実践編〜

河原祐輔
Cross Fit Minatomiraiヘッドコーチ、Cross Fit Black Ships Yoyogiコーチ、日本ウエイトリフティング協会 選手強化スタッフ(委託)。学生時代はウエイトリフティングの選手として、全日本ジュニア選手権大会(2008年)94kg級優勝、全日本大学対抗選手権大会(2008年、2009年、2010年)94kg級優勝、全日本選手権大会(2009年)94kg級 Snatch競技で準優勝と活躍。指導者としても、金沢学院高等学校ウエイトリフティング部監督を務め、全国高等学校総合体育大会で個人、団体での優勝選手を輩出。全国の合宿に出向いてのウエイトリフティングの指導、バスケットボール、柔道選手のトレーニング指導も行っている。