Strava Japan Club では、#ソロって団結 チャレンジの応援コンテンツとして、こういう時だからこそ参考にしたい運動の専門家のアドバイスを、複数回に渡ってお届けします。
筋肉のメカニズムや運動、栄養摂取の研究を専門とする立命館大学の藤田聡教授が伝授する3回目にして最後のティップスは、メンタル面で意識したい3つのポイント。
前回の記事を読む:「ステイホーム」中のトレーニング 〜フィジカル編〜
#ソロって団結
「ステイホーム」中の
トレーニング
〜メンタル編〜
Point 1: Habit Stacking
「新しい習慣を作るには、いま既に習慣化されているものに結びつけることが良いと思います。英語で “habit stacking” (ハビット・スタッキング)というのですが、例えば家で朝コーヒーを淹れるという習慣がすでに確立されている人であれば、ポットにコーヒーをセットするときにスクワットをやるというようなことです。運動をやることだけを独立して習慣化するのは難しいので、最初のうちは既にある習慣と結びつけることが一番ハードルを下げられるのではないかと思います」
Point 2: 目標設定
「イベントが中止になり目標を失うということは、トップの選手でも同じように持っている悩みです。今のモチベーションとしては、これまで通りのフィジカルを維持して、尚且レストを十分とった状態で、再びコンペティションに戻ったときに、いつもと同じかそれ以上のパフォーマンスを発揮するという気持ちで、目標設定をすることが大事だと思います。もちろん目標設定は個々によって違いますが、ただなんとなく運動は大事と思いながら、何をしたら良いのかわからないという人は多いです。例えば、今の体力を絶対に落とさない、体重を観察しながら体脂肪率を増やさないなど、自分の体や体力に基づいて測れたり、評価できたりする範囲で目標設定をすることが良いと思います」
Point 3: ポジティブシンキング
「この状況でもいかにポジティブに考えられるかが大切です。日頃からランニングのみで、筋力トレーニングに取り組んでいないという場合は、こういった状況を逆手にとって、新しいトレーニングやフィジカルのメニューに取り組めるチャンスだと思っていただきたいです。いろんな運動にトライすることによって、偏りを防ぐことができます。まずは筋トレを自重から始めて、慣れてきたらバンドを使うなどしてレベルアップしていくと、それがランニングやサイクリングのパフォーマンスにも必ずポジティブに働くと思います。筋力を維持することは、怪我の予防やパフォーマンス向上という観点からも重要です」
「部屋の中でたくさんの種類の運動を実施するのも、この時期だからこそできることです。意外と楽にできる動きや、できない動きなど、自分の体について新しく知る機会でもあります。長距離を走る選手ほど、持久力が落ちることを一番恐れていると思います。最低限の高強度のインターバル運動と筋トレを組み合わせる中で、毎日その部位を酷使するというよりは、セット間にピラティスやヨガのような動作を入れるなどして、それをある意味インターバルとして使うのも良いと思います」
「ステイホーム」中のトレーニング 〜筋トレ編〜

藤田 聡
立命館大学 スポーツ健康科学部 教授
●2002年南カリフォルニア大学大学院博士号修了 ●博士(運動生理学) ●2006年テキサス大学医学部内科講師、2007年東京大学大学院新領域創成科学研究科特任助教を経て、2009年より立命館大学 ●米国生理学会(APS)や米国栄養学会(ASN)より学会賞を受賞 ●専門は運動生理学、特に運動や栄養摂取による骨格筋の代謝応答 ●監修本に『図解眠れなくなるほど⾯⽩い 図解 たんぱく質の話』、共著に『体育・スポーツ指導者と学生のためのスポーツ栄養学』など。
藤田聡教授研究室:https://www.fitness-lab.net
立命館大学が発信するビジネス、テクノロジー、グローバル、ライフ、スポーツ、カルチャーに関する情報サイト: https://shiruto.jp/