日本でトレイルランニングが愛される理由を紐解く —
トレイルランニングの本場といえば、世界的には二ヶ所思いつく。一つは、豊富なトレイルと重厚感のある山々がそびえ立つアメリカ。もう一つは、難易度の高いルートや熱狂的なファンが多いことで知られているヨーロッパの高山地帯。しかし最近のレースリザルトを見ていると、この二大勢力が必ずしも上位を独占しているわけではない。そう、アジアという第三の勢力がその頭角を現し始めている。とりわけ日本や中国のランナーたちの勢いは凄まじい。
ウルトラトレイル・マウントフジ (UTMF) は、アジア最大のウルトラトレイルレースと言っても過言ではないだろう。ウルトラ・トレイル・ワールド・ツアーのシリーズレースとして、あのウルトラトレイル・デュ・モンブラン (UMTB) とその名前を連ね、国際的にも注目度の高い100マイルレースだ。富士山の麓を1周するコースは決して優しくはないが、トレイルや林道を丁寧につなぎ合わせて作られたコースは、ランナーたちに日本最大のランドマークを惜しげもなく見せてくれる。