ベルリンマラソンで魔法を起こすには
自己ベストは油断ならない生き物のようなものです。簡単に手に入れることはできません。マラソン大会の数日前にベルリンに集まったランナーたちの定まらない視点と、そわそわして震える指が、自己ベスト達成の難しさを物語っています。
ランナー達は皆、任務遂行のためにベルリンに集まっています。誰であろうと、任務はほとんど同じです。自己ベストを出すために、今までよりも速く、マラソンを走り抜けたいと思っているのです。2:59であれ、2:01であれ、4:59であれ、彼らの今までのトレーニングと努力と決意が、全てこの日に実を結び、記録を塗り替えられるようにしなければいけません。
ベルリンは、そのための場所です。タイムが出やすく、天候は概ね良好です。現在の世界記録は昨年ここで樹立されました。自己ベストがでる可能性が、灯台のようにキラキラ輝き、ランナー達をその明かりの方へ誘うのです。